太陽光発電のブレーカーとパワコン|停電時の自立運転と確認点を電気工事士が解説

太陽光発電のブレーカーとパワコン 停電時の自立運転

停電すると、屋根の太陽光発電でつくった電気はそのままでは家の中で使えません。電力会社からの電気が止まると、パワーコンディショナ(パワコン)が自動的に運転を止めるためです。ただし、昼間に日が当たっていれば、パワコンを「自立運転」に切り替えて、専用のコンセントから電気を使える機種があります。機種によっては、このとき分電盤の中にある太陽光発電用のブレーカーも操作します。

この記事では、福岡・佐賀で漏電調査やブレーカーの修理を行っている電気工事士の立場から、停電時の自立運転の使い方、停電が直ったあとの戻し方、停電ではないのに太陽光発電が止まっているときの確認、浸水や異臭があるときの注意を、メーカーの資料と福岡県・経済産業省の注意喚起をもとに解説します。操作の細かな手順は機種によって違うため、最後は必ずお手元の取扱説明書で確認してください。なお、パワコンや分電盤から煙が出ている・炎が見えるときは、操作より先に119番への通報と避難を優先してください。また、浸水・破損した太陽光パネルやパワコンは、光が当たれば発電して感電するおそれがあるため、近づいたり操作したりしないでください(詳しくは後半で解説します)。

停電すると太陽光発電のパワコンは自動で止まる

住宅の太陽光発電は、ふだんは電力会社の配電線とつながった状態(連系運転)で動いています。発電した電気を家の中で使い、余った分は電力会社へ送り(売電)、足りない分は電力会社から買う(買電)しくみです。

ガス機器・住宅設備メーカーのノーリツが公開している「太陽光発電システムの自立運転について」の資料では、電力会社の電気が停電した場合、太陽光発電システム(パワーコンディショナ)は自動的に止まり、パワーコンディショナにエラー表示が出ると説明されています。同じ資料では、停電が解消すれば約5分後に自動的に通常の連系運転を再開するとされています(自立運転に切り替えていない場合)。

つまり、停電中に太陽光発電が止まっていても、それだけで故障とは限りません。停電による運転停止について、この資料には「これは故障ではありません。」と書かれています。停電が「うちだけ」なのか地域全体なのかの見分け方は、停電の切り分け手順の記事で解説しています。

停電中に電気を使う「自立運転」の手順

自立運転は、停電などで電力会社からの電気が止まったときの非常用の運転です。パワコンを自立運転に切り替えると、太陽光で発電した電気を、自立運転用(停電用)のコンセントから使えるようになります。自立運転中は売電されません。パワコンや分電盤のまわりが浸水している・水に濡れているときは、この操作は行わないでください。

手順の一例(オムロン KPR-A48-J4ほか)

オムロンが公開しているパワコン(形式KPR-A48-J4/KPR-A56-J4/KPW-A48-J4/KPW-A55-J4/KPW-A55-SJ4)の「停電時の使い方」では、手動で切り替える設定の場合、次の順番が案内されています。

▶ 手順1 分電盤の太陽光発電用ブレーカを「オフ」にする
▶ 手順2 パワコンの運転スイッチを5秒以上押し続ける(運転スイッチが「オフ」になる)
▶ 手順3 もう一度、運転スイッチを5秒以上押し続ける(運転スイッチが「オン」になり、自立運転が始まる)
▶ 手順4 停電用コンセントに使いたい機器をつなぐ

この機種では、手順1で太陽光発電用のブレーカーを「オフ」にしてから切り替えます。ノーリツの資料でも、運転をいったん止めてから分電盤の太陽光発電システム専用ブレーカをOFFにし、ボタンを押して自立運転に切り替える手順になっています。一方、三菱電機のパワーコンディショナ(形名PV-PSM45L2ほか)の取扱説明書では、本体の運転切換スイッチを「自立」にする手順で、ブレーカーの操作は出てきません。ブレーカーを操作するかどうか、ボタンの名前や押す秒数は、メーカー・機種によって違います。たとえばソーラーフロンティアの操作表示ユニット(KP-SW1-SS)の資料では、運転切替スイッチを3秒以上押し続ける手順になっています。

自動で自立運転に切り替わる機種もあります。

上のオムロンの資料では、「連系運転と自立運転が自動で切り替わる設定」になっている場合は自動的に自立運転に切り替わり、発電した電気は併設している蓄電システムに送られ、停電用コンセントは設置されていないと説明されています。蓄電池をお使いの家では、ここで紹介した手順と違う動きになることがあります。

▶ 停電の前に、自立運転用のコンセントの場所を確かめておく
自立運転用のコンセントの位置も機種によって違います。ノーリツの資料では本体右側面の専用コンセントと案内されています。三菱電機の上記機種の取扱説明書では、自立運転機能は別に設置したコンセント(必要な場合のみ)で使うもので、その設置には別途工事が必要とされています。この場合、コンセントを設けていない家では自立運転の電気を取り出せません。停電してから探すことにならないよう、ふだんのうちに取扱説明書で場所と有無を確かめておきましょう。

自立運転は「昼間だけ」「使える電気に上限がある」

自立運転で使えるのは、太陽電池が発電している昼間だけです。オムロンの資料では、夜間など太陽電池が発電していないときはパワコンのランプがすべて消え、自立運転への切り替えはできないとされています。曇りや夕方で発電量が落ちたときや日の入りには、自立運転は自動的に止まります。止まったあとの再開のしかたも機種で違い、オムロンの機種(手動で切り替える設定の場合)では発電が戻ってから運転スイッチを操作し直すのに対し、三菱電機の上記機種では日射が回復すれば自動的に自立運転を再開するとされています。

使える電気にも上限があります。オムロンの資料では、つなぐ機器の合計消費電力を1500VA以下(AC100Vで最大15A以下)にするよう案内されています。ノーリツの資料でも、昼間に十分な日射があれば専用コンセントから最大1,500Wの電力が取り出せるとしたうえで、日射量が少ない場合や太陽電池の容量が少ない場合は、それに応じた電力になると書かれています。三菱電機の上記機種では、自立運転出力用コンセント1か所につき最大15Aとされており、上限の決め方も機種によって違います。

あわせて、ノーリツの資料には次のような注意があります。

・人命にかかわる機器や、電源が切れると故障する機器(デスクトップパソコンなど)はつながない
・洗濯機・掃除機・冷蔵庫など、モーターで動く製品は起動時に大きな電流が必要なため、動かないことや、保護機能が働いていったん止まることがある
・モーターで動く製品と、ほかの製品を同時に使わない
・冷蔵庫のように、続けて電気を送る必要がある機器には使えない
・タコ足配線で使わない

オムロンの資料も、突然止まっても安全上の問題がない機器をつなぐよう案内しています。スマートフォンの充電など、止まっても困らないものにしぼって使ってください。たこ足配線の注意点はコンセントの増設とたこ足配線の記事で解説しています。

停電が直ったら、ブレーカーを戻して連系運転へ

自立運転に切り替えて使っていた場合は、停電が直ったあとの戻し忘れに注意が必要です。ソーラーフロンティアの資料では、自立運転に切り替えている場合、停電が復旧しても自動的には戻らないため、自分で操作して系統連系運転に戻すよう書かれています。ノーリツの資料でも、停電が回復したときは必ず連系運転に戻すよう案内されています。

連系運転に戻す前に、まず停電用コンセントにつないでいる機器を外します。オムロンの資料は、機器をつないだままにしないよう、火災や感電、けがの原因となるおそれがあると警告しています。そのうえで、オムロンの資料(手動で切り替える設定の場合)では、復電後の手順は次のとおりです。

▶ 手順1 運転スイッチを5秒以上押し続けて「オフ」にする(自立運転が止まる)
▶ 手順2 分電盤の太陽光発電用ブレーカを「オン」にする
▶ 手順3 運転スイッチを5秒以上押し続けて「オン」にする
▶ 手順4 運転ランプと連系ランプが点灯し、連系運転が始まったことを確かめる

夜に復電した場合は、停電用コンセントの機器を外したうえで、手順2(ブレーカーを戻す)だけ行えば、翌朝に連系運転で動き出すとされています。太陽光発電用のブレーカーを「オフ」のままにしておくと、晴れていても発電した電気が家の中で使われず、売電もされない状態が続きます。

台風などの停電のあとは、電気が戻ったときの通電火災にも気をつけてください。復電時の確認は台風の停電・復電と通電火災の記事で解説しています。

停電ではないのに太陽光発電が止まっているとき

家の中の照明や家電はふつうに使えるのに、パワコンが止まったまま、あるいは発電量の表示がずっと0のまま、ということもあります。ノーリツの資料では、家庭内のほかの電気製品が正常に使える状態なのに停止の表示が長く続く場合は、家庭用分電盤の太陽光発電システム専用ブレーカがOFFになっていないかを確認し、OFFであればONにしてみるよう案内されています。

停電のときに自立運転に切り替えて、そのまま太陽光発電用のブレーカーを「オフ」にしていた、というのは起こりやすい戻し忘れです。分電盤の中で「太陽光発電用」「太陽光」などと書かれたブレーカーが「切」になっていないか、まず見てみてください。

太陽光発電用のブレーカーが何度も落ちるときは、入れ直しを繰り返さないでください。ノーリツの資料では、専用ブレーカが頻繁にOFFになるようであれば、販売店またはメーカーの窓口へ連絡するよう書かれています。ブレーカーは異常を見つけて電気を止めるための安全装置です。原因が分かるまで無理に使い続けないことが大切です。

分電盤の主幹の漏電ブレーカーが落ちて家全体の電気が消えているときは、太陽光発電だけの問題ではなく、家の中のどこかの回路で漏電している可能性があります。戻し方の手順はブレーカーの中立と正しい戻し方の記事、入れ直しても戻らないときはブレーカーが戻らない原因の記事をご覧ください。

浸水・破損は近づかない、異臭・発煙は止めて連絡

煙が出ている・炎が見えるときは、ためらわず119番に通報し、避難を優先してください。

三菱電機のパワーコンディショナ(形名PV-PSM45L2ほか)の取扱説明書では、万一、異臭や発煙があった場合は、ただちに運転切換スイッチを「停止」にし、分電盤の太陽光発電用ブレーカを「OFF」にして、お買い上げの販売店に連絡するよう書かれています。異常のまま放置すると火災・感電の原因になるとして、放置しないよう注意されています。

大雨や台風のあとも注意が必要です。福岡県は、太陽光発電設備は浸水・破損した場合であっても光が当たれば発電することが可能で、接近または接触すると感電するおそれがあるとして、浸水・破損した太陽光発電設備にはむやみに近づかないよう呼びかけています。

経済産業省も2018年7月に、太陽電池発電設備(太陽光パネル、架台、集電箱、パワーコンディショナーなど)は浸水しているときに近づくと感電するおそれがあるので近づかないよう注意を出しています。同じ注意では、水が引いたあとでも集電箱やパワーコンディショナーの内部に水分が残っていると触ったときに感電するおそれがあること、内部に残った湿気や汚れで発火する可能性があることにも触れています。

屋根の上のパネルも同じです。三菱電機の取扱説明書には、太陽電池モジュールが取り付けられた屋根に登る場合はモジュールに触れないようにという警告があります。強風でパネルがずれた、割れたといった場合も、ご自身で屋根に上がって確かめるのはやめて、販売施工店に相談してください。

パワコン・パネルは販売施工店、分電盤・配線は電気工事店

福岡県によると、太陽光発電は福岡県の再生可能エネルギー導入容量の約9割を占めています(事業用の発電所も含めた割合です)。ご自宅に太陽光発電がある場合、トラブルのときの相談先は、場所によって分かれます。

▶ パワコン本体・太陽光パネル・蓄電池
三菱電機の取扱説明書には、パワーコンディショナの据付工事は販売店が電気事業法や電気設備の技術基準などに基づいて行っていると書かれています。本体のエラー表示が消えない、パネルが破損した、といったときは、お買い上げの販売施工店やメーカーの窓口へ連絡するのが先です。保証期間中であれば、保証書も用意しておきましょう。

▶ 分電盤・ブレーカー・家の中の配線
主幹の漏電ブレーカーが落ちる、ほかの回路のブレーカーも落ちる、分電盤から焦げ臭いにおいがするといったときは、家の中の電気設備側に原因があることもあります(煙や炎が見えるときは119番へ。焦げ臭いときはブレーカーを入れ直さず、使用をやめてご相談ください)。どこで漏電しているかは、絶縁抵抗計で回路ごとに測って絞り込みます。調べ方の流れは漏電調査の記事をご覧ください。ブレーカーの交換や配線の工事は電気工事にあたり、電気工事士の資格が必要です。分電盤の経年劣化について、一般社団法人 日本電機工業会は、住宅用分電盤に内蔵されたブレーカーの更新推奨時期を使用開始後13年としています(分電盤の寿命の記事)。

自立運転用のコンセントを新たに設けたい、使いやすい場所に移したいといったときも、パワコンにかかわる工事になるため、まずは販売施工店に相談してください(三菱電機の上記機種の取扱説明書でも、別設置のコンセントは別途工事が必要で、詳細は販売店へ問い合わせるよう書かれています)。賃貸住宅にお住まいの場合は、太陽光発電設備は大家さんの設備のことが多いため、先に大家さんや管理会社へ連絡してください(賃貸住宅の電気トラブルの記事)。

福岡・佐賀で太陽光発電まわりのブレーカーにお困りなら

停電するとパワコンは自動で止まる。昼間に日が当たっていれば、取扱説明書の手順で自立運転に切り替え、専用コンセントから必要なものだけを使う。停電が直ったら太陽光発電用のブレーカーを戻して連系運転に戻す。ブレーカーが何度も落ちるときは入れ直しを繰り返さず、異臭があるときは取扱説明書の手順で運転を止め、浸水・破損したときは近づかずに、販売施工店やメーカーへ連絡する(煙や炎が見えるときは操作にこだわらず119番へ)。これが安全な順番です。

漏電、ブレーカー、換気扇修理119番は、福岡県全域と佐賀県の主要都市で、電気工事士の有資格者が漏電調査やブレーカーの修理・交換を行っています。太陽光発電の機器そのものに対応できるかは、ご相談の際にお問い合わせください。分電盤のブレーカーが落ちて原因が分からないときは、家の中の配線の側から漏電調査を行い、ほかの回路に原因がないかを調べることができます。年中無休24時間受付、最短即日で伺います。お見積りは無料、出張費も基本無料で、お見積り後の追加料金はいただきません。作業前後の写真もお渡ししています。料金の目安は料金ページをご覧のうえ、まずはお電話またはメールでご相談ください。

参考資料:福岡県「太陽光発電設備の安全対策」/経済産業省「水没した太陽電池発電設備による感電防止についてのお願い(周知)」(2018年7月9日)/ノーリツ「太陽光発電システムの自立運転について」/オムロン「停電時の使い方(自立運転モードの使い方)」(KPR-A48-J4ほか)/ソーラーフロンティア 操作表示ユニット KP-SW1-SS の停電時の資料/三菱電機 パワーコンディショナ PV-PSM45L2ほか 取扱説明書(各資料をもとに当社が要約・編集)

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