ブレーカーの中立とは?トリップ状態の正しい戻し方を電気工事士が解説
ブレーカーのレバーが「入」でも「切」でもない、中途半端な位置で止まっている——この状態を中立、またはトリップ状態と呼びます。上げようとしても戻らないため、故障を疑って何度も動かしてしまう方が少なくありません。この記事では、福岡・佐賀で電気工事を行う漏電119番の電気工事士が、中立になる理由と、メーカーや電気保安団体が案内している正しい復帰の手順、そして自分で触ってはいけない範囲を解説します。
目次
ブレーカーの「中立」とは何が起きている状態か
ブレーカーのレバーの位置は、そのまま状態を表しています。パナソニックの公式案内では「ON・中間(トリップ)・OFF」の3つが状態表示として示されています。
ここで知っておきたいのが、トリップしたときの止まり方は機種によって違うという点です。「入」と「切」の中間位置で止まる機種もあれば、そのまま「切」の位置まで戻る機種もあります。ご自宅のブレーカーが中間で止まっていたなら、前者のタイプということになります。
いずれの場合も、中立は故障ではなく「安全装置が正常に働いた印」です。ブレーカーは電気の異常を検知して回路を遮断し、火災や感電を防ぐための装置なので、止まっていること自体は機器が役目を果たした証拠といえます。
問題は、なぜ遮断されたのかという中身のほうです。中間位置で止まるタイプは、そのまま「入」へ押し上げようとしても戻らないのですが、これにも構造上の理由があります。
中立から復帰させる正しい手順
中間位置で止まったレバーは、そのまま「入」に上げても戻りません。中国電力も「ブレーカーによっては完全に『切』にならないで途中で止まってしまうことがあります。完全に『切』(OFF)にしてから『入』(ON)にしてください」と案内しています。いったん下まで下げてリセットしなければ、構造上ONにならないためです。
また、電気の使いすぎで遮断された場合は、すぐには復帰できないことがあります。パナソニックの公式案内でも、その場合はしばらく時間をおいてから再度操作するよう示されています。1〜2回試して戻らないときは、故障と決めつけずに少し待ってみてください。
漏電遮断器(漏電ブレーカー)が動作した場合、関東電気保安協会は次の手順を案内しています。
▶ 手順1 配線用遮断器(安全ブレーカー)などのスイッチ類を、いったん全部「切」にします。
▶ 手順2 漏電遮断器のつまみを下まで下げてから、上まで上げて「入」にします。
▶ 手順3 切ってあったスイッチ類をひとつずつ順に「入」にしていきます。
このとき、あるスイッチを入れた瞬間に再び漏電遮断器が切れたら、その回路が漏電しているということです。原因の回路が分かったら、その回路のスイッチを「切」にしたうえで、漏電遮断器のつまみをもう一度「入」に戻し、残りのスイッチを順に「入」へ戻します。こうすれば、ほかの部屋の電気は使える状態を保てます。そのうえで電気工事店に連絡してください。
なお、機種によってはレバーとは別に黄色の表示ボタン(漏電表示ボタン)が飛び出すものがあります。このボタンは、ハンドルを「入」にすると自動で戻る機種と、指で軽く押して手動で戻す機種があります(テンパール工業の案内では、住宅用分電盤の主幹用漏電ブレーカの40アンペア以上の器種はハンドルに連動して凹むとされています)。操作方法は分電盤のふたの裏や取扱説明書に記載されていますので、あわせて確認してください。
この手順でも復帰しない場合や、そもそもレバーが動かない場合は、ブレーカーが戻らない・リセットできない原因と対処法で原因を切り分けています。
どのブレーカーが中立になっているかで意味が変わる
分電盤には役割の違うブレーカーが並んでおり、どれが落ちたかで原因の見当がつきます。福岡・佐賀の一般家庭では、契約プランによって次の3種類が並んでいることが多くあります。
▶ 安全ブレーカー(配線用遮断器)が1つだけ落ちた
その回路だけで容量を超えた、またはショートが起きた可能性があります。該当する部屋で使っていた家電を減らして復帰するなら、使いすぎが原因と考えられます。
▶ アンペアブレーカーが落ちて家全体が停電した
九州電力の従量電灯Bなど一部のプランでは、分電盤の最初にアンペアブレーカー(電流制限器)が付いています。契約アンペアを超える電流が流れると自動で遮断されるため、家じゅうの家電を同時に使ったときに家全体が止まります。使う家電を減らしてから復帰させてください。
▶ 漏電遮断器(主幹)が落ちた
こちらは漏電だけが原因とは限りません。パナソニックの公式案内では、主幹の漏電ブレーカーが動作する原因として短絡・過電流・漏電・過電圧が挙げられています。
見分けるポイントが黄色の表示ボタンです。機種によりますが、ボタンが飛び出していれば漏電または過電圧、飛び出していなければ短絡または過電流の可能性が高いと案内されています。ボタンが出ている場合は、先ほどの手順1〜3で漏電している回路を切り分けてください。
なお、家全体が停電したときの原因としては、アンペアブレーカーによる電気の使いすぎが多く見られます。この点も含め、ブレーカーが繰り返し落ちる場合の原因はブレーカーが頻繁に落ちる原因は?放置のリスクと対処法で詳しく解説しています。
やってはいけない対応
中立の状態で、次のような対応は危険です。
何度も入れ直す…遮断の原因が残ったまま通電を繰り返すと、配線や機器に負担がかかります。異常が解消していないのに無理に通電させることになります。
テープなどで固定する…落ちないように押さえつけるのは、安全装置を無効にする行為です。絶対に行わないでください。
分電盤の内部に触れる…カバーを外して配線に触れる作業は、感電の危険があるうえ、電気工事士法により資格が必要です。無資格での作業は認められていません。
また、水に濡れた場所での操作や、焦げたにおい・異音・変色がある場合は、操作せずにご連絡ください。
復帰しない・繰り返すときは点検を
手順どおりに操作しても復帰しない、復帰してもすぐに中立へ戻ってしまう場合は、漏電や配線の劣化、ブレーカー自体の不具合など、住宅側に原因が残っている可能性があります。関東電気保安協会も、漏電している回路が見つかった場合は早めに点検して修理することが必要としています。
設置から年数が経った分電盤は、部品の劣化で正常に遮断できなくなることもあります。交換の目安や費用についてはブレーカー・分電盤交換の費用相場と必要なケースをご覧ください。
福岡・佐賀でブレーカーの中立にお困りなら漏電119番へ
漏電119番では、電気工事士の有資格者がブレーカーや分電盤の点検・修理を行っています。「切り分けてみたが原因の回路が分からない」「復帰してもまたすぐ落ちる」という状態は、住宅側で異常が続いているサインです。無理に通電を繰り返す前に、一度点検をご検討ください。福岡・佐賀エリアで対応していますので、まずはメールでお気軽にご相談ください。