分電盤は九州電力の設備?引込線・メーターとの境目と連絡先を電気工事士が解説

分電盤は九州電力の設備?引込線・メーターとの境目と連絡先

「分電盤が古くなったので、九州電力に交換してもらえるの?」というご質問をいただくことがあります。結論からいうと、家の中の分電盤(漏電遮断器や安全ブレーカー)と屋内の配線は、お住まいの方(お客さま)側の設備で、修理や交換は電気工事店に依頼するものです。一方、電柱から家までの引込線、電気メーター(電力量計・スマートメーター)、リミッター(電流制限器)は九州電力送配電の設備で、異常があれば同社の配電事業所に連絡します。分電盤の中に付いているリミッターだけは、同じ箱の中にあっても九州電力送配電のものです。

この記事では、九州電力送配電が公開している「託送供給等約款」(2026年10月1日実施)と同社の公式ページをもとに、どこまでが九州電力送配電の設備で、どこからが自分の設備なのか、そして症状ごとにどこへ連絡すればよいのかを、福岡・佐賀で漏電調査や分電盤の工事を行う電気工事士の目線で整理します。分電盤やコンセントから煙が出ている・炎が見えるときは、連絡先を考えるより先に119番への通報と避難を優先してください。

九州電力と九州電力送配電は別の会社

最初に整理しておきたいのが会社の違いです。九州電力送配電の公式サイトによると、2020年4月1日に九州電力から送配電部門が分社し、「九州電力送配電株式会社」として新たにスタートしました。電気事業法の改正で、発電・小売部門と送配電部門を同じ会社で運営することが禁止された(法的分離)ためです。

いまは役割が次のように分かれています。

▶ 電気の契約先(小売電気事業者)
電気料金の契約をしている会社です。九州電力のほか、いわゆる新電力と契約している家もあります。契約アンペアの変更や料金の手続きはこちらです。

▶ 九州電力送配電(一般送配電事業者)
電柱・電線・引込線・電気メーターなど、電気を家まで届ける設備を持ち、管理している会社です。約款では、同社の供給区域は福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県とされています。九州電力と契約している家も、新電力と契約している家も、この区域の一般的な住宅では、電気は九州電力送配電の設備を通って届きます。

つまり「九州電力に分電盤を見てほしい」というとき、停電や引込線・メーターなど設備の相談先になるのは、送配電側の九州電力送配電です。ただし、後で説明するとおり、分電盤そのものは同社の設備ではありません。

どこまでが九州電力送配電の設備?早見表

九州電力送配電の「停電時のお客さま電気設備の点検・調査について」のページでは、同社の設備の例として「引込線、電力量計、リミッターなど」が挙げられ、お客さまの電気設備の例として「漏電遮断器や配線の故障など」が挙げられています。約款の定めとあわせて整理すると、一般的な戸建て住宅(電柱から電線で引き込む架空引込線の場合)では次のようになります。

設備 持ち主 不具合のときの連絡先
電柱・電線、電柱から家の取付点までの引込線 九州電力送配電 九州電力送配電の配電事業所
電気メーター(電力量計・スマートメーター) 九州電力送配電 九州電力送配電の配電事業所
リミッター(電流制限器)※付いている家の場合 九州電力送配電 故障は配電事業所/契約アンペアの変更は電気の契約先
分電盤(漏電遮断器・安全ブレーカー) お客さま 電気工事店
屋内の配線・コンセント・スイッチ・照明器具 お客さま 電気工事店

賃貸住宅の場合、「お客さま」の設備は建物のオーナーのものなので、まず大家さんや管理会社に連絡します(詳しくは賃貸住宅の電気トラブルは誰が修理する?の記事で解説しています)。

約款では境目がどう決められているか

九州電力送配電の託送供給等約款(2026年10月1日実施)は、同社と小売電気事業者など(約款上の「契約者」)との間の託送の条件を定めたもので、家庭が直接結ぶ契約ではありません。ただし、電気を使う家庭(約款上の「需要者」)の設備との境目や同社の設備の範囲も書かれていて、主な定めは次のとおりです。

・供給地点は、同社の電線路または引込線と、需要者(電気を使う人)の電気設備との接続点とする
・供給地点に至るまでの供給設備は、同社の所有とする
・架空引込線の場合、建物などの引込線取付点までは同社が施設する(58 架空引込線)
・料金の計算に必要な計量器(メーター)は、原則として同社が選定し、同社の所有とする(63 計量器等の取付け)
・需要場所の電流制限器等(リミッター)は、同社の所有とする(66 電流制限器等の取付け)
・同社は、供給地点に至るまでの供給設備と、計量器など需要場所内にある同社の電気工作物について保安の責任を負う(ただし同社が所有権を持たない設備は除く/75 保安の責任)

ひとことでいえば、一般的な戸建て住宅では、電柱から引込線の取付点までと、家に付いているメーター・リミッターが九州電力送配電の設備で、それ以外の家の電気設備はお客さま側、という考え方です。なお、約款では、供給地点から分電盤の引込開閉器(分電盤に入ってくる電気を受ける最初の開閉器)までの配線を「引込口配線」と呼び、同社が施設するものとはしていません。引込線を取り付けるために敷地内に立てる引込小柱などの支持物も、同社が施設するものとはされていません。外壁を伝う配線など、どちらの設備か迷う部分は、自己判断で触らず、状況を伝えて配電事業所や電気工事店に確認してください。

地中に埋めた電線で引き込んでいる家や、マンションのように1本の引込線で複数の住戸に配る建物では、約款上の境目の決め方が変わることがあります。マンションでは、建物の受電のしかたによって、住戸のメーターやリミッターまで含めて九州電力送配電の設備とは限りません。共用部の設備はもちろん、住戸内の不具合でも、まずは管理会社に確認してください(オーナー側の対応はアパート共用部の電気トラブルの記事で解説しています)。

分電盤の中の「リミッター」だけは九州電力送配電のもの

分電盤には役割の違うスイッチが並んでいて、九州電力送配電の「電気がつかないときは」のページでは、これをA(リミッター=電流制限器)、B(漏電遮断器)、C(ブレーカー)として説明しています。このうちAのリミッターは、分電盤の中にあっても九州電力送配電の所有です(約款66)。BとCはお客さま側の設備なので、同じ分電盤の中でも持ち主が違うことになります。

また、同じページでは、リミッター機能を計量器(スマートメーター)に内蔵している場合があり、その場合はリミッターが切れた10秒後に自動で再点灯すると案内されています。ただし、使っている電気機器を減らさないまま繰り返し停電すると再点灯できなくなる場合があり、そのときは配電事業所へ連絡するよう案内されています。分電盤にAのスイッチが見当たらない家は、メーターの中にリミッター機能がある場合のほか、契約の種類によってはリミッターが付いていない場合もあります。約款では、契約容量(6キロボルトアンペア以上)で契約する場合は、あらかじめ「契約主開閉器」(使える電流の上限を決めるブレーカー)を設定し、その定格電流をもとに契約容量を決めることとされています。分電盤のどのスイッチが誰の設備か分からないときは、自己判断せず、配電事業所や電気工事店に確認してください。

症状別:九州電力送配電に連絡するか、電気工事店に相談するか

九州電力送配電(配電事業所)に連絡するケース

・家の前の引込線が垂れ下がっている、切れている、外れかけている
・電気メーターやメーターのまわりが壊れている、メーターの表示がおかしい
・ブレーカーはどれも切れていないのに、自分の家だけ電気が来ていない
・ブレーカーを操作しても停電が直らない、操作のしかたがよく分からない(九州電力送配電の「電気がつかないときは」のページで、配電事業所への連絡が案内されています)

約款では、引込線や計量器など、需要場所内にある同社の電気工作物に異状や故障がある(またはそのおそれがある)と気づいたときは、すみやかに同社へ知らせることとされ、その場合、同社はただちに適当な処置をするとされています。垂れ下がった電線や引込線には絶対に触らず、近づかないでください。配電事業所の電話番号は、九州電力送配電の公式サイトの「配電事業所お問い合わせ先一覧」で、お住まいの県(地区)ごとに確認できます。電話は「送配電コールセンター」で受け付けていて、通話料は無料です。IP電話からはつながらない場合があるため、その場合は携帯電話などからかけるよう案内されています。停電などお急ぎの用件は、受付時間外でも電話を受け付けているとのことです。停電かどうかの見分け方は、停電は「うちだけ」?切り分ける手順の記事で詳しく解説しています。

リミッターがよく落ちるとき:契約アンペアの見直しは「電気の契約先」へ

リミッター(A)が切れるのは、電気の使いすぎが主な原因です。九州電力送配電の案内では、使っている電気機器の数を減らしてからリミッターを「入」にするよう説明されています。そのうえで、九州本土のお客さまが契約アンペアの変更を希望するときは、電気の契約先(小売電気事業者)へ連絡するよう案内されています(離島のお客さまは最寄りの配電事業所へ)。

契約アンペアを上げると、分電盤の容量や配線によっては分電盤側の工事が必要になることがあります。この部分はお客さま側の設備の工事です。当店では、工事にあわせて電力会社側への手続きの代行にも対応しています。詳しくはアンペア変更工事の費用相場と手続きの記事をご覧ください。

電気工事店に相談するケース

・漏電遮断器(B)やブレーカー(C)が何度も落ちる、入れてもすぐ落ちる
・分電盤が古い、ブレーカーのつまみがぐらつく、分電盤から「ジー」という音がする
・コンセントや分電盤のまわりが焦げている、焦げ臭い
・コンセントや照明、スイッチが使えない

九州電力送配電の「電気がつかないときは」のページでも、漏電遮断器を戻す途中で切れた回路は漏電している恐れがあるため電気工事店や保守センターに相談すること、プラグを抜いても切れる場合は回路(お客さま設備)の不良として電気工事店や保守センターに相談することが案内されています。焦げ臭さや煙がある場合は、ブレーカーを入れ直して電気を戻そうとせず、煙や炎があれば119番通報と避難を優先してください。

九州電力送配電に分電盤を見てもらうと有料?

九州電力送配電は、2024年10月以降、停電の連絡を受けた際のお客さま電気設備の点検・調査を有料にしています。同社のページに掲載されている料金(税込)は次のとおりです。

・平日昼間(9時〜17時):6,600円/回
・平日夜間(17時〜9時)・土日祝(終日)・年末年始(12月29日9時〜1月4日9時):8,800円/回

同じページでは、次の点も案内されています。

・お客さまの電気設備が原因の場合、同社では改修工事ができない。点検・調査の結果、改修工事が必要な場合は、電気工事店への料金が別途必要になる場合がある
・同社設備(引込線、電力量計、リミッターなど)の点検・調査・改修工事は、これまでどおり無料
・床・壁・天井の中など、隠れていて目視できない部分は点検・調査の対象外
・法令にもとづき4年に1回、国の登録調査機関(九州電気保安協会、各県電気工事業工業組合)が行うお客さま電気設備の安全調査も、これまでどおり無料
・同社を装った不審電話、詐欺や窃盗に注意

つまり、停電の原因が分電盤や屋内配線などお客さま側の設備にある場合、九州電力送配電に点検・調査を頼むことはできますが有料で、修理は別に電気工事店へ依頼することになります。同社のページでも、お客さまの電気設備が原因の場合はお近くの電気工事店や保守センターへの依頼を案内しています。なお、有料になるのは停電時にお客さま設備の点検・調査を希望した場合で、同社への連絡や同社設備の点検・修理が有料になるわけではありません。ブレーカーの操作で直らないときや、操作が分からないときは、ためらわず配電事業所に連絡してください。4年に1回の安全調査については、アパート共用部の電気トラブルの記事でも触れています。

分電盤の修理・交換は電気工事士の仕事

お客さま側の設備とはいえ、分電盤の交換や屋内配線の工事は、資格のない人が自分で行うことはできません。電気工事士法第3条第2項では、第一種電気工事士または第二種電気工事士でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(保安上支障がないとして省令で定める軽微な作業を除く)に従事してはならないと定められています。分電盤のふたを開けてブレーカーを交換したり、配線をつなぎ替えたりするのは、電気工事士の資格を持つ人の仕事です。

分電盤の交換時期の目安としては、一般社団法人 日本電機工業会は、住宅用分電盤に内蔵されたブレーカーの更新推奨時期を使用開始後13年としています。設置からの年数が長い分電盤や、ブレーカーの動きに違和感がある分電盤は、一度点検を受けておくと安心です。交換時期の考え方は分電盤の寿命と交換時期の記事、費用の目安はブレーカー・分電盤交換の費用相場の記事と料金ページをご覧ください。

まとめ:九州電力送配電の設備は引込線・メーター・リミッター

(一般的な戸建て住宅の場合。マンションや地中引込の家は管理会社・配電事業所に確認)
・電柱から引込線の取付点まで、電気メーター、リミッターは九州電力送配電の設備。異常は同社の配電事業所へ
・分電盤(漏電遮断器・ブレーカー)、屋内配線、コンセントはお客さま側の設備。修理・交換は電気工事店へ(賃貸はまず大家さん・管理会社へ)
・契約アンペアの変更は、電気の契約先(小売電気事業者)へ
・停電時に九州電力送配電へお客さま設備の点検・調査を頼むと有料で、改修工事はできない(同社設備の点検・修理は無料)
・煙・炎があれば、まず119番通報と避難

漏電、ブレーカー、換気扇修理119番では、福岡県全域と佐賀県の主要都市で、分電盤やブレーカーの不具合、漏電の調査・修理に対応しています。漏電調査だけのご依頼も可能で、調査結果をご説明したうえで、修理が必要な場合はお見積りをご提示します(修理を他社に依頼されても構いません)。作業は電気工事士の有資格者が行い、年中無休24時間受付、最短即日でうかがいます。お見積りは無料、出張費も基本無料です。「これは九州電力送配電に連絡するべき?」と迷う症状でも、状況をお聞きして切り分けのお手伝いをしますので、お電話またはメールでお気軽にご相談ください。引込線の垂れ下がりや切断、メーターの破損など、九州電力送配電の設備の異常がはっきりしている場合は、当店を通さず配電事業所へ直接ご連絡ください。ブレーカーまわりの対応内容はブレーカー修理のページでもご紹介しています。

福岡・佐賀の電気トラブルは漏電、ブレーカー、換気扇修理119番へ

年中無休24時間対応/見積り無料・出張費 基本無料/電気工事士の有資格者が最短即日対応

📞 050-5893-3809

年中無休24時間受付/スマートフォンはタップで発信できます

📧 メールで無料相談する

« 太陽光発電のブレーカーとパワコン|停電時の自立運転と確認点を電気工事士が解説 冬にブレーカーが落ちる原因|暖房家電の同時使用と契約アンペアの見直し方 »