感震ブレーカーとは?4つの種類と後付けの選び方|福岡の電気工事士が解説
感震ブレーカーは、地震の大きな揺れを感知すると、ブレーカーやコンセントの電気を自動で止める器具です。内閣府のチラシ「感震ブレーカー等の選び方」(2026年3月版)では、震度5強相当以上の揺れを感知したときに作動するものと説明されています(作動する震度などを変更できるタイプもあります)。種類は大きく分電盤タイプ、コンセントタイプ、簡易タイプの3つに分かれ、分電盤タイプには内蔵型と後付け型があります(消防庁の資料では、この2つを分けた4種類で比べています)。種類によって、止められる範囲、電気工事の要否、費用が違います。選ぶときは、①今の分電盤に感震機能が付いているか ②災害時でも電気を止めてはいけない機器があるか ③分電盤の買い換えや機能の追加ができるかの順に考えると整理しやすくなります。この記事では、内閣府・消防庁などの公的な資料をもとに、福岡・佐賀でブレーカー・分電盤の工事を行う電気工事士の立場から、種類ごとの違いと選び方、作動したあとの復旧手順をまとめます。
目次
感震ブレーカーが必要とされる理由|地震のあとの電気火災
内閣府は、東日本大震災の本震による火災111件のうち、原因が特定された108件の過半数が電気関係の出火だったと紹介しています(日本火災学会誌「2011年東日本大震災 火災等調査報告書」より作成)。地震による電気火災には、揺れの最中に起きるものと、停電が復旧したときに起きるものがあります。内閣府のチラシでは、たとえば次のような場面が挙げられています。
- 揺れで電気ストーブのスイッチが入り、倒れてきた洗濯物がかぶさって着火する
- 停電のあと電気が戻ったときに、半分抜けかけたコンセントから火花が出て、周りのほこりや可燃物に着火する
地震のあと避難するときにブレーカーを切っておけば、こうした火災を防ぎやすくなります。ただ消防庁が説明しているとおり、大きな地震のときは自力でブレーカーを落とすのが難しいことがあり、留守中に地震が起きることもあります。そうしたときに代わりに電気を止めてくれるのが感震ブレーカーです。
福岡も地震と無縁ではありません。地震調査研究推進本部によると、警固(けご)断層帯は玄界灘から博多湾、福岡市中央区・南区、春日市、大野城市、太宰府市を経て筑紫野市に至る、長さ55km程度の断層帯です。2005年の福岡県西方沖の地震(マグニチュード7.0)は、この断層帯の北西部の活動とされています。
なお、感震ブレーカーは揺れで作動する設備なので、台風による停電では作動しません。台風のあとの停電・復電で起きる火災の対策は、台風の停電・復電で起きる通電火災|復旧時の手順を電気工事士が解説で詳しく説明しています。
感震ブレーカーの4つの種類と違い
消防庁の資料「感震ブレーカーの効果と種類」では、次の4つに分けて特徴を比べています。費用は同資料に載っている目安で、当社の工事料金ではありません。製品や住まいの状況によって変わります。
※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。
| 種類 | 電気を止める範囲 | 電気工事 | 費用の目安(消防庁資料) |
|---|---|---|---|
| 分電盤タイプ(内蔵型) | 家全体 | 必要 | 約5万円〜8万円(標準的なもの) |
| 分電盤タイプ(後付け型) | 家全体 | 必要 | 約2万円 |
| コンセントタイプ | そのコンセントだけ | 埋込型は必要/差し込むだけの型は不要 | 約5,000円〜2万円 |
| 簡易タイプ | 家全体 | 不要 | 3,000円〜4,000円程度 |
分電盤タイプ(内蔵型)
分電盤に組み込まれたセンサーが揺れを感知し、ブレーカーを落として家全体の電気を止めます。消防庁の資料では、感震性能が高く、専門の工事業者が設置するため作動の信頼性が高いとされています。揺れを感知してから電気を止めるまでに3分程度の待機時間があり、その間は照明が使えるので、明かりのあるうちに避難や身の回りの確認ができます(待機時間は変更可能とされています)。分電盤ごと入れ替える工事になるため、費用は4つの中でいちばん高くなります。
分電盤タイプ(後付け型)
今ある分電盤に感震機能を外付けするタイプです。家全体の電気を止める点と、3分程度の待機時間がある点は内蔵型と同じで、分電盤を丸ごと交換するより費用を抑えられます。ただし消防庁の資料では、漏電ブレーカーが設置されている場合に設置可能とされています。内閣府の検討会の資料では、センサーが揺れを感知すると漏電しているという信号を出し、既設の漏電ブレーカーを作動させて電気を止める仕組みが紹介されています。古い分電盤では漏電ブレーカーが付いていないこともあります。漏電ブレーカーの役割は漏電遮断器(漏電ブレーカー)の役割と動作原理で解説しています。
コンセントタイプ
コンセントに内蔵されたセンサーが揺れを感知し、そのコンセントからの電気だけを止めます。壁に取り付ける埋込型は電気工事が必要で、今あるコンセントに差し込んで使う型は工事が要りません。ほかのコンセントには電気が来たままなので、避難するときの明かりなどは使えます。その代わり消防庁の資料では、コンセント以外の配線、コンセントまでの屋内配線、付けていないコンセントで起きる火災は防げないとされています。電気ストーブなど、地震のときに火元になりやすい電熱器具を中心に付けるのが基本の使い方で、消防庁の資料では、電気製品の種類やレイアウトを変えたときに付け直すなど、継続的な対応が必要とされています。
簡易タイプ
ばねの力やおもりの落下を使って、分電盤のブレーカーのスイッチを物理的に切る器具です。ホームセンターなどで買えて、電気工事は要りません。ただし消防庁の資料では、自分で取り付けるため作動の信頼性にばらつきが出るおそれがあること、今ある分電盤の形によっては取り付けが難しいことが挙げられています。また揺れと同時に家中の電気が止まるので、避難のための明かりを別に用意しておく必要があります。取り付けたら、製品の取扱説明書に沿って作動を確かめておきましょう。
なお内閣府のチラシ(2026年3月版)では、簡易タイプの一つとして、コンセントに差して使い、揺れを感知すると意図的に漏電を起こして漏電ブレーカーを作動させ、家中の電気をまとめて止める仕様のものも紹介されています。「コンセントに差す形=その機器だけ止まる」とは限らないので、止まる範囲は製品の説明で必ず確かめてください。
どれを選ぶ?内閣府の選び方の目安
内閣府のチラシ「感震ブレーカー等の選び方」には、どのタイプが合うかを考えるためのフローチャートが載っています。内閣府自身が「各タイプの推奨順を示すものではない」と断ったうえでの目安ですが、流れは次のとおりです。
- 今の分電盤に感震機能が付いているか
分電盤は玄関、廊下、洗面所、キッチンなどにあることが多いです。分電盤そのものに感震装置が付いているか、分電盤の近くに増設型の感震ブレーカーがないかを確認します。内閣府は「感震機能付住宅用分電盤・感震装置 認定品リスト」を参照して確かめるよう案内しています。付いていれば、取扱説明書に沿って作動を確認しておきます。付いていなければ次へ進みます。 - 災害時でも電気を止めてはいけない機器があるか
バッテリーを備えていない医療用機器を使っていて、急に電気が止まると命に関わる方などが当てはまります。この場合は家全体を止めるタイプではなく、接続した機器だけを止めるコンセントタイプが候補になります(コンセントに差す形でも家中を止める製品があるので、止まる範囲は必ず確認してください)。あわせて停電に備えたバッテリー等の用意が必要です。 - 分電盤の買い換えや機能の追加ができるか
できる場合(持ち家の方や、住宅の購入を検討中の方など)は分電盤タイプを、できない場合は簡易タイプを検討します。分電盤タイプが高額で手が出ない、今の分電盤に感震装置を追加できないといった場合は、簡易タイプ・コンセントタイプも検討する、という流れです。
賃貸住宅の場合、分電盤は建物の設備なので、交換や機能の追加は大家さん・管理会社の了承が前提になります。自分で付けられる簡易タイプでも、取り付け方法によっては事前に相談しておくと安心です。賃貸の設備の相談先は賃貸住宅の電気トラブルは誰が修理する?も参考にしてください。
分電盤が古いなら、交換のときに感震機能付きを選ぶ方法もあります。一般社団法人 日本電機工業会は、住宅用分電盤に内蔵されたブレーカーの更新推奨時期を使用開始後13年としています。交換時期が近い分電盤なら、入れ替えるときに感震機能付きの製品を選ぶのも一つの考え方です。交換の目安は分電盤の寿命は何年?、費用の考え方はブレーカー・分電盤交換の費用相場と必要なケースで解説しています。
また内閣府のチラシによると、電気設備の民間規格である「内線規程」では、自治体が指定した「地震時等の電気火災の発生・延焼等の危険解消に取り組むべき地域」のすべての住宅等と、「防火地域・準防火地域」の住宅等への分電盤タイプの設置が勧告的事項、それ以外の住宅等への設置が推奨的事項とされています。自治体によっては設置費用の補助を行っている場合もあるので、お住まいの市町村のホームページも確認してみてください。
付ける前に準備したいこと|急に電気が止まっても困らないように
感震ブレーカーは電気を止めて火災を防ぐ器具なので、作動すれば夜でも家の中が真っ暗になります。内閣府は、設置とあわせて次の対策に取り組むよう呼びかけています。
- 生命の維持に直結する医療用機器を使っている場合は、停電に対処できるバッテリー等を備える
- 夜間の明かりのために、停電時に点く足元灯や懐中電灯を常備する
- 避難路を確保するために、建物の耐震化や家具の転倒防止に取り組む
- 定期的に作動を確認し、必要に応じて部品等を交換する
- 蓄電池がある住宅では、感震ブレーカーを付けても蓄電池からの電気は流れ続ける仕様の場合があるので注意する
また消防庁の資料では、感震ブレーカーの有無にかかわらず、地震のあと自宅から避難するときはブレーカーを切ることも重要とされています。揺れ方は建物の構造や階数、取り付けた壁などによって大きく変わるため、感震ブレーカーは各地の震度と同じように作動するとは限らない、という点も同じ資料で説明されています。「付けたから安心」ではなく、避難時にブレーカーを切る習慣とセットで考えてください。
感震ブレーカーが作動したあとの復旧手順
避難先から帰宅して照明などが点かないときは、感震ブレーカーが作動している場合があります。内閣府の「感震ブレーカーの取扱いの留意点」では、電気を戻す前に次の順で確認するよう案内しています。
- ガスの臭いがしないか:臭いがする場合は、まず換気やガス会社への連絡をする。内閣府のチラシでは、復電する場合は事前にガス漏れ等がないことを確認するよう案内しています
- 感震ブレーカーが作動しているかを確認する
- 家の中を点検する:ヒーターや白熱灯などの周りに燃えやすいものがないか/すぐに使わないアイロン・ドライヤーなどのプラグを抜いたか/電気製品やコンセントに水がかかっていないか
- 感震ブレーカーをリセットする:分電盤タイプの場合は、通常のブレーカーと同じようにスイッチを戻すとリセットされます(詳しくは各製品の説明書で確認)
- しばらく様子を見る:壁の中の配線や電気製品の内部の傷みは外から見えないことがあります。焦げ臭いなど異常を感じたら、ブレーカーを落としてからもう一度点検する
電気を戻したあとに焦げたような臭いがする、コンセントや電気製品から煙が出ているときは、すぐにブレーカーを切ってください。内閣府は、原因が分からない場合は電気の使用を見合わせるよう呼びかけています。煙が出続けている、炎が見えるといったときは、無理に近づかず119番通報と避難を優先してください。ブレーカーを戻してもすぐ落ちる、戻らないといった場合は、ブレーカーが戻らない・リセットできない原因と対処法も参考にしてください。
福岡・佐賀で分電盤の確認・交換をご検討の方へ
感震ブレーカー選びは、今の分電盤の状態を知ることから始まります。使い始めて何年たっているか、漏電ブレーカーが付いているか、後付けの機器を取り付ける余地があるかによって、選べるタイプが変わるからです。分電盤タイプの取り付けや埋込型のコンセントタイプは電気工事になるので、電気工事士の有資格者に依頼してください。
漏電、ブレーカー、換気扇修理119番では、福岡市・北九州市・久留米市をはじめとする福岡県全域と、佐賀市・鳥栖市など佐賀県の主要都市で、ブレーカー・分電盤の修理や交換を行っています。電気工事士の有資格者が伺い、年中無休24時間の受付で最短即日対応します。見積りは無料で出張費も基本無料、お見積り後の追加料金はいただきません。作業の前後は写真でご報告します。分電盤交換の料金は料金ページ、ブレーカー・分電盤の工事内容はブレーカー修理のページをご覧ください。感震ブレーカーの取り付けに対応できるかは製品や分電盤の状態によって変わるため、ご相談の際にお問い合わせください。お電話またはメールでお気軽にご相談ください。
参考資料:内閣府 防災情報のページ「感震ブレーカーの普及促進」(チラシ「感震ブレーカー等の選び方」2026年3月版、チラシ2019年4月版)、「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」(「感震ブレーカーの取扱いの留意点」ほか)/消防庁「感震ブレーカー」(「感震ブレーカーの効果と種類」)/地震調査研究推進本部「警固断層帯」(各資料をもとに当社が要約・編集)
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