アース線をつながないとどうなる?|洗濯機・電子レンジの接地と感電リスク
洗濯機や電子レンジの背面から出ている緑色の線——アース線を、つながないまま使っていませんか。「コンセントに挿せば動くから」と省略されがちですが、アースは漏電したときに電気を大地へ逃がすための設備で、場所によっては法令で施工が求められるものです。この記事では、福岡・佐賀で電気工事を行う電気工事士が、アースの役割、法令でどこまで求められているのか、つながないと何が起きるのか、そして自分でできる範囲と工事が必要な範囲を整理します。
目次
アースは「漏電した電気の逃げ道」
アース(接地)は、機器の金属部分を大地とつなぐ配線です。日立は洗濯機のFAQで、アース線について「洗濯機から漏電が発生したときに電気を地面に逃がす役割があります。漏電時の感電を防ぐため、かならず取り付けてください。」と案内しています。電子レンジのFAQでも同じく、故障や漏電時の感電を防ぐため必ず取り付けるよう記載されています。
アースが無いと、漏電した電気は行き場を失い、金属の外箱に電圧がかかったままになります。そこへ人が触れると、人の体が電気の通り道になってしまう——これがアース未接続でいちばん怖いところです。とくに濡れた手や濡れた床は電気を通しやすく、洗濯機置き場や台所は条件がそろっています。
法令の側でも、電気設備に関する技術基準を定める省令の第10条が「電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。」と定めています。アースは「あると安心なオプション」ではなく、感電と火災を防ぐための基本的な措置という位置づけです。
法令ではどこまで求められているのか
設備側の基準としては、経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」があります。第29条は、電路に施設する機械器具の金属製の台や外箱に、使用電圧の区分に応じた接地工事を施すこととしており、低圧で300V以下ならD種接地工事(29-1表)と定めています。住宅で使う100Vの電圧区分は、ここに当たります。
D種接地工事の中身は同解釈の第17条第4項にあり、接地抵抗値は100オーム以下(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に電路を自動的に遮断する装置を施設するときは500オーム以下)とされています。「アース線をどこかにつなげばよい」という話ではなく、大地との間に決められた抵抗値を確保する工事だ、という点がポイントです。
省略できる場合はあるが、水まわりは対象外
同じ第29条の第2項には、接地を省略できる場合が挙げられています。代表的なものは次のとおりです。
- 交流の対地電圧が150V以下(または直流の使用電圧が300V以下)の機械器具を、乾燥した場所に施設する場合
- 電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁の構造の機械器具を施設する場合
- 水気のある場所以外の場所に施設する低圧用の機械器具に電気を供給する電路に、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型のものに限る)を施設する場合
ここで見ていただきたいのは、1つ目と3つ目に「乾燥した場所」「水気のある場所以外」という限定が付いていることです。つまり洗面所・洗濯機置き場・台所のような水を使う場所では、この2つの道は使えません。2つ目の2重絶縁構造にあたるかどうかは、製品の表示や取扱説明書でご確認ください。
もうひとつ、3つ目の漏電遮断器は定格感度電流が15mA以下という条件です。住宅の分電盤に一般的に付いているものは30mAですので、「漏電ブレーカーが付いているからアースは要らない」という理解は、水まわりに限らず成り立ちません。
メーカー側の案内も同じ方向です。日立は電子レンジのFAQで、湿気の多い場所や水気のある場所で使う場合は電気工事有資格者によるD種接地工事が法律で義務付けられているとし、さらに水気のある場所で使用する際は漏電遮断器の取り付けも義務付けられていると記載しています。設備側の基準とメーカーの案内は、それぞれ別の説明ですが、水まわりを厳しく見るという点では同じ向きを向いています。
つながないと、漏電ブレーカーが先回りできない
漏電遮断器(漏電ブレーカー)は、行きと帰りの電流の差を検出して回路を切る装置です。詳しい仕組みは漏電遮断器の役割と動作原理で解説しています。
ここで効いてくるのがアースの有無です。アースがつながっていれば、機器が漏電した瞬間に電気はアース線を通って大地へ流れます。行きと帰りの差がはっきり出るので、漏電遮断器は人が触れる前に動作できます。
一方、アースが無い機器では、外箱に電圧がかかっていても大地への確実な経路がありません。十分な電流が流れなければ、漏電遮断器が働くきっかけになりません。人が触れて体を通って電流が流れてから遮断器が動く——という順番になりやすく、遮断器が付いていても感電そのものを未然に防げる状態とは言えません。「ブレーカーが落ちてから気づく」ではなく「落ちる前に逃がす」ための設備がアースだ、と考えてください。
漏電が起きているかどうかを見分けるサインは漏電のサインを見逃すな|火災リスクと早期発見の7つのチェックリストにまとめています。
アース線は自分でつないでよいのか
ここは、条文と実務の両方を見る必要があります。電気工事士法は第2条第3項で、電気工事から政令で定める軽微な工事を除いています。その中身が電気工事士法施行令第1条で、第2号に「電圧六百ボルト以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧六百ボルト以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事」が挙げられています。
ただし、この号が対象にしているのは電気機器(=家電)側の端子で、コンセントは配線器具にあたるため括弧書きで除かれています。つまり「コンセント側の端子への取り付け」はこの号には含まれません。
一方で、機器のアース線をすでにあるアース端子へ取り付ける手順は、メーカー自身が住まいの方向けの手順として案内しています。日立の洗濯機のFAQも、電源プラグを抜いた状態でアース線の先端の被覆を取り、芯線をコンセントのアース端子に確実に取り付けるよう説明しています。
これに対して、アース端子の無いコンセントをアース端子付きに交換する、接地極を新たに設けるといった作業は、機器の端子にねじ止めする話ではなく設備そのものを変更する工事です。日立も、コンセントにアース端子がない場合は電気工事業者へ、電気工事士の有資格者によるD種接地工事を依頼するよう案内しています。
つないではいけない場所がある
これは必ず知っておいてください。日立のFAQは、法令で取り付けが禁止されているため、次のところにアースを取り付けないよう案内しています。
- ガス管
- 電話線
- 避雷針
- 水栓(蛇口)
- 水道管
「金属だから大地につながっているはず」という感覚で選ぶと、かえって危険な状態を作ります。アース線の被覆の色は緑(または緑/黄のストライプ)です。もし過去の引っ越しや設置のときに、上のような場所へ留められていたら、その時点でご相談ください。
アース端子が無い家ではどうするか
築年数の経った住宅では、洗濯機置き場や台所のコンセントにアース端子が付いていないことがあります。この場合の選択肢は、コンセントをアース端子付きに交換する、または接地工事を行って端子を設けることです。いずれも電気工事にあたるため、有資格者の作業になります。
賃貸住宅の場合は、設備の変更にあたるため、着手する前に管理会社や大家さんへ確認してください。費用を誰が負担するのかという考え方は賃貸住宅の電気トラブルは誰が修理する?で整理しています。
なお、アース線が届かないからといって延長コードのように継ぎ足したり、隣のコンセントへ引き回したりするのは避けてください。日立は電子レンジのFAQで、付属のアース線の長さが足りない場合は販売店に相談するか、断面積1.25平方ミリメートルの「より線」のアース線を購入するよう案内しています。継ぎ足すのではなく、適合するものに替えるという考え方です。
福岡市や久留米市の築年数の経った住宅では、洗濯機置き場のコンセントが2口のみでアース端子が無い、というご相談も少なくありません。判断に迷うときは、現地で確認したうえでご提案します。
福岡・佐賀のアース工事・接地工事は漏電119番へ
アースは、普段はまったく仕事をしていない設備です。役に立つのは、機器が壊れて漏電した「その一回」だけ。だからこそ後回しにされやすく、そして後回しにした状態で事故が起きます。
当社は電気工事士の有資格者が、コンセントのアース端子の増設、アース端子付きコンセントへの交換、接地工事、漏電の調査まで対応しています。「洗濯機を買い替えたらアース端子が無かった」「アース線が余ったまま垂れている」といったご相談も承ります。年中無休24時間受付、見積り・出張費は無料です。
出典:電気設備に関する技術基準を定める省令(e-Gov法令検索)、経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(第17条・第29条)、電気工事士法および同法施行令(e-Gov法令検索)、日立の家電品 よくあるご質問「洗濯機にアースは必要ですか?」「電子レンジにアース線は必要ですか?」。法令・解釈は改正されることがありますので、実際の施工は最新の基準に沿って行います。
福岡・佐賀の電気トラブルは漏電、ブレーカー、換気扇修理119番へ
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